2013/06/19
23:43:11
程なくして、目隠しが外された。
黒い光沢に、青白い光が印象的な。やはり綺麗な場所だった。
一度脚の拘束も解かれ、五感が戻った。
目が慣れるまでに時間がかかったのと、ぼんやりしていたので気付くのが遅れたが
気配がしていたもう一人は、またもや男性だった。
上体を起こされ、気配のもう一人の男が水を飲ませてくれる。
最初はいたわる様に
最後にはむき出しの太ももに水がこぼれる位に。
ぽたぽたっと、黒い床に水が。
勿体ない。
そう思った私は爪先で水をすくい取る様にして遊んだ。
私はまた、ごろんと床に寝転がった。
使い古された壊れた人形みたいに、時には意思を持った人間の様にひたすら自由に動き回った。
どうせこの時間が夢でも現実でも、何かしらに縛られているのには変わりが無いんだから。
目の前の不思議な時間を、心の底から楽しんだ。
目が覚めたら、何もかもが消えていた。
青白い光も、麻縄も、縛られた跡も。確かに"あった空間"が私の部屋に戻っていた。
あれはただの夢だったんだろうか。
いや…もっと現実寄りの、ユメとイマとの境のような。
それはとても素敵な場所
fin.
feat.緋月